Research
and
Development
美濃窯業の研究開発
焼成技術・セラミックス製造技術を活かし、
省エネルギー加熱・焼成炉、高温焼成炉用の省エネルギー耐火物の研究開発を行っています。
世界でオンリーワンの新技術を追い求めています。
insulation
エネルギー消費効率向上に貢献する高温用断熱材
(多孔質セラミックス)
ゲル化凍結法を用いた多孔質セラミックス作製技術を活用し、
焼成炉のエネルギー消費効率向上に貢献する高温用断熱材の研究開発を行っています。
※国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合研究開発機構(NEDO)の委託事業で開発中です。
一般的なガス式焼成炉の加熱に投入されるエネルギー収支
(バッチ式炉、有効容積2m³、加熱温度1650℃、断熱材:高アルミナ質耐火断熱れんが)
一般的なセラミックス焼成炉
一般的なバッチ式セラミックス焼成炉では、焼成に投入するエネルギーを100%とすると、被焼成物の加熱に使用されるエネルギーはそのうちのわずか2%です。残りの98%のエネルギーはすべて廃棄されるため、エネルギー消費効率が低い設備であり、エネルギー消費効率向上が強く求められています。
高温用断熱材を使用した
バッチ式セラミックス焼成炉のエネルギー消費効率
バッチ式セラミックス焼成炉のエネルギー消費効率向上達成のために、ファイバーレス高温用断熱材の研究開発を⾏っています。開発高温用断熱材を炉材として使⽤した焼成炉において、焼成に必要な燃料使⽤量は、既存の断熱材を使⽤した焼成炉よりも⼤幅に削減できる結果となり、ランニングコストの低減かつ⼤幅なエネルギー消費効率向上が期待されます。
ガス式焼成炉に開発断熱材を内張り施工した場合の燃料消費量の削減効果
(バッチ式炉、有効容積0.7m³、加熱温度1500℃、既存断熱材:高アルミナ質耐火断熱れんが)
開発断熱材を内張り施工したガス式焼成炉
ゲル化凍結法による
多孔質セラミックス
高温用断熱材を初めとする当社の多孔質セラミックスは「ゲル化凍結法」という特殊な製造方法を用いて作製しています。
多孔質セラミックスの5つの特長
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01. RCF規制対象外
リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)等のセラミックファイバーを使用しないため、規制の対象外です。
ファイバー系断熱材のような繊維の飛散がなく、摩耗にも強いです。 -
02. 高気孔率かつ高強度
骨格部分の緻密化を実現したことで高気孔率にも関わらず比較的高強度です。
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03. 通気性・担持性
3次元的に気孔同士が貫通した連通気孔を有しており、通気性や触媒などの担持性を有します。
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04. 易加工性
乾式でも切削加工が可能です。施工時に現場で加工する事ができます。
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05. その他
熱的・化学的安定性、吸音性 等
JIS並型形状
(230×114×65mm)でわずか680g、従来の耐火断熱れんがに比較して約1/5の重さです。
- 多孔質セラミックスの微構造
- 多孔質セラミックスの構造モデル
- 易加工性
- サンドブラスト後の外観
- 多孔質セラミックスのサイズ感
product
開発製品
非酸化物セラミックス系
摺動部材
SiCやB4Cの非酸化物系セラミックスは優れた耐食性、耐熱性、硬度、強度を有するため摺動部材として様々な過酷環境で使用されています。当社では、混合水栓に使用されるセラミックバルブや、コンプレッサーやポンプ等に使用されるメカニカルシールを開発しています。
水栓バルブ
SiCやB4Cの非酸化物系セラミックスは優れた耐食性、耐熱性、硬度、強度を有するため摺動部材として様々な過酷環境で使用されています。当社では、混合水栓に使用されるセラミックバルブや、コンプレッサーやポンプ等に使用されるメカニカルシールを開発しています。
メカニカルシール
メカニカルシールとは、ポンプや撹拌機などの回転機器に重要な部品であり、高圧力・高回転する軸の周囲から流体の漏れを防ぐ部材です。耐摩耗性・摺動性が要求される部材であり、当社では、B4CセラミックスやSiCベース材料を設計開発することで耐摩耗性・摺動特性に優れたメカニカルシールを開発しました。
放電加工可能な非酸化物系セラミックス
炭化ホウ素(B4C)セラミックスはダイヤモンドに次ぐ極めて高い硬度や弾性率を有し、かつその比重は鉄の約1/3と構造材料として非常に軽いといった優れた特性を有しています。反面、高硬度のため機械加工による切断や研削が簡便にできず、複雑形状化が難しいことが課題として挙げられます。当社では、B4Cに導電性材料を分散複合化し、高い導電性を有するB4Cセラミック複合材料を開発しました。従来より、当社B4Cは常圧による焼結で製造、ニアネット成形による部材製造が可能ではありましたが、更に高い導電性を有することで、B4Cセラミックスの優れた特性を有しながら放電加工による複雑形状の精密加工が可能となりました。光学反射ミラー、半導体搬送装置、ノズル等への応用が期待されます。
セメント用ロータリーキルン用高機能クロムフリー塩基性れんが
セメント用ロータリーキルンに使用される耐火れんがは、過去はマグネシアクロム質が主でしたが、クロムの一部が有害物質に変化する恐れがあり環境上の問題がありました。当社では、クロムを使用せずにマグネシアクロム質と同等以上の性能を有する「クロムフリー塩基性れんが」を開発し、実炉においても高い評価を受けています。
また昨今では、セメントの原料及び燃料として廃棄物・副産物の利用が進んでおり、セメント用ロータリーキルンに使用される耐火れんがは、より優れた耐サルファー性やコーティング付着性が要求されるようになりました。当社ではお客様のニーズに合わせて継続的にクロムフリー塩基性れんがの開発を行っています。
キルンファニチャー
近年のパソコンやスマートフォン、電気自動車などの電子機器の急速な性能向上にはセラミックコンデンサ、セラミックセンサ、二次電池電極などの機能性セラミックスの開発や普及が深く関わっています。
それら機能性セラミックスの製造には焼成の工程が不可欠であり、当社ではそのための焼成炉やセラミック製の道具材の開発・製造を行っています。近年省エネルギーの観点から、それら機能性セラミックの焼成はより短時間での昇温・降温が行われ、かつ高寿命が要求されています。
当社では、特にアルミナ・ムライト質の焼成用セラミックス道具材の耐熱衝撃性、耐アルカリ反応性、耐クリープ性に着目して継続的に品質向上、及び材料開発、及びお客様への提案を行っています。
ゲルボンドキャスタブル
耐火物は焼成れんがからその大半が耐火コンクリートとも呼ばれる不定形耐火物に置き換わってきています。それは不定形耐火物が焼成れんがと比較して製造工程における成形・焼成の工程を不要とするエネルギー、及びコスト的メリットがあること、及び施工の複雑形状適応性や容易性の高さに起因します。
しかしながら、焼成れんがの結合の代替として主にセメントを利用しているために、不定形耐火物誕生の当初からその耐熱性とセメント水和物の脱水のための乾燥が必要というデメリットも有していました。
当社では、従来の不定形耐火物の結合として使用していたセメントボンドの代りにゲルボンドを使用することで、耐熱性が高く、乾燥時間の大幅な短縮が可能となる不定形耐火物を開発しました。
ガラス溶解炉用フィーダーパーツ
ガラス溶解炉のフィーダーパーツは、溶融ガラスによる侵蝕や急激な温度変化による熱衝撃に晒されるため、高い耐食性と耐熱衝撃性が要求されます。当社では、耐熱衝撃性や耐食性に優れる高純度アルミナ質やアルミナ・ジルコン質の複雑形状のフィーダーパーツを開発しました。
廃棄物処理用耐火物
産業廃棄物の処理設備の一つとして、ガス化と溶融を炉内で同時に行うロータリーキルン式溶融炉があります。
ロータリーキルン式溶融炉で使用される耐火物にはスラグに対する耐食性、回転中の機械的応力に対する応力緩和性と熱衝撃抵抗性が求められます。ロータリーキルン式溶融炉用耐火物として、AREX-BFシリーズを開発しました。